【2026年1月義務化】工作物石綿事前調査者とは?
【2026年1月義務化】工作物石綿事前調査者とは?新資格の詳細解説
アスベスト対策の強化に伴い、新たに「工作物石綿事前調査者」という資格が創設されました。この資格について、どのような内容なのか、いつから義務化されるのか、詳しく解説いたします。
工作物石綿事前調査者とは
工作物石綿事前調査者とは、特定の工作物において石綿の使用の有無を事前に調査するための専門資格です。建築物や船舶に続き、工作物についても有資格者による事前調査が義務化されることになりました。
この資格は、従来の建築物石綿含有建材調査者とは異なり、建築物とは構造や石綿含有材料が異なり、調査にあたり工作物に係る知識を必要とする工作物として定められたプラント設備、電気設備、配管及び貯蔵設備の事前調査で必要となる資格として新設されました。
いつから義務化されるのか
令和8年1月1日以降着工の工事から、工作物の解体等の作業を行うときは、資格者による事前調査を行う必要があります。つまり、2026年1月1日から義務化が開始されます。
なお、令和8年1月1日以前着工の工事についても、資格者による事前調査を行うことが望ましいとされており、早期の対応が推奨されています。
何ができるようになるのか
工作物石綿事前調査者の資格を取得することで、以下のことができるようになります:
対象となる工作物の事前調査
特定工作物として以下の工作物の事前調査が可能になります:
- 炉設備関連
- 反応槽
- 加熱炉
- ボイラー及び圧力容器
- 焼却設備
- 電気設備関連
- 発電設備(太陽光発電設備及び風力発電設備を除く)
- 変電設備
- 配電設備
- 送電設備(ケーブルを含む)
- 配管・貯蔵設備
- 配管設備(建築物に設ける給水設備、排水設備、換気設備等を除く)
- 貯蔵設備(穀物を貯蔵するための設備を除く)
- 煙突(建築物に設ける排煙設備等を除く)
その他の工作物
トンネルの天井板、プラットホームの上家、遮音壁、軽量盛り土保護パネル、鉄道の駅の地下式構造部分の壁および天井板なども調査対象に含まれます。
また、塗料その他の石綿等が使用されているおそれがある材料の除去等の作業も調査対象となり、具体的にはモルタルやコンクリート補修材を除去する作業なども含まれます。
どんな人が対象なのか
この資格を取得すべき対象者は、主に以下の方々です:
1. 解体・改修工事に関わる事業者
- 工作物の解体工事を行う元請業者
- 改修・補修工事を手掛ける事業者
- アスベスト除去専門業者
2. 既存の建築物石綿含有建材調査者
各対象工作物に対し、事前調査を実施することができる者として、建築物石綿含有建材調査者も一部の工作物について調査可能ですが、特定工作物については工作物石綿事前調査者の資格が必要です。
3. 設備管理・保守業務従事者
- 工場やプラントの設備管理者
- 電気設備の保守担当者
- 配管設備の施工・保守業者
資格取得方法
工作物石綿事前調査者になるには、工作物石綿事前調査者講習を受講し、修了する必要があります。
講習実施機関
工作物石綿事前調査者講習の実施機関は、建築物石綿含有建材調査者講習等登録規程に基づき、都道府県労働局に登録された機関(登録講習機関)が実施しています。
講習内容
講習では以下のような内容を学習します:
- 工作物の構造と石綿含有材料の特性
- 事前調査の方法と手順
- 安全管理と法令遵守
- 調査報告書の作成方法
講習修了後には筆記試験が実施され、合格することで資格を取得できます。
まとめ
工作物石綿事前調査者は、2026年1月1日から義務化される重要な資格です。工作物の解体・改修工事に関わる事業者の方は、早めの資格取得をおすすめします。
この資格により、従来の建築物に加えて、プラント設備や電気設備、配管設備など幅広い工作物のアスベスト事前調査が可能になり、より安全で適切な工事施工が実現できるようになります。
アスベスト対策の専門性を高め、安全な作業環境の構築に貢献するためにも、ぜひ資格取得をご検討ください。
※本記事の情報は2025年8月時点のものです。最新の情報については厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイトをご確認ください。
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